IG証券はイギリスに本拠地をおく取引所です。
そして、海外の取引所といえばゼロカットを思い浮かべる人も少なくないでしょう。
しかし、IG証券でも一般的な海外取引所のようにゼロカットを利用できるのでしょうか。
実際、IG証券の公式サイトを見てもゼロカットという単語が見当たらないと気づいた人もいるのではないでしょうか。
そこで今回はIG証券のゼロカットについて分かりやすく解説していきます。
IG証券のゼロカットを分かりやすく解説
IG証券にゼロカットはない
IG証券にゼロカットはありません。
ゼロカットとは、取り引きの結果として万が一にも口座残高以上の損失が出た場合、そのマイナス分をゼロにリセットしてくれるシステムです。
要するに、ゼロカットがあればどれほど失敗しても借金を作ってしまうリスクがないということです。
海外のFX取引所などは一般的にこのゼロカットを採用しているため、イメージに反して意外とリスクが高くなかったりします。
しかし、残念ながらIG証券はゼロカットを採用していません。
もし、口座残高以上の損失が出てしまった場合、その損失はトレーダーが追加で口座へ入金することで弁済しなければなりません。
これを一般的に「追証」と呼びます。
ここで「弁済」という言葉を使ったように、追証は借金としての性質を持ちます。
したがって、仮にそのまま放置しておくとIG証券に対する遅延損害金も生じてしまいます。
率直にいって、IG証券にゼロカットがないことはシンプルにデメリットでしかないといってよいでしょう。
もっとも、そもそもIG証券で借金を作ってしまうようなリスクはかなり低めです。
普通に取り引きしているぶんには、よほどのことがないかぎり借金ができるようなことはありません。
ここまで少し危機感をあおるような解説になってしまいましたが過度な心配は不要です。
IG証券にゼロカットがない理由
IG証券にゼロカットがないのは基本的にデメリットでしかありません。
しかし、これはなにもIG証券だけのデメリットではありません。
なぜなら、IG証券がゼロカットを採用しないのは日本の金融庁の規制が理由だからです。
したがって、日本の金融庁の認可のもと営業している取引所はIG証券と同じようにどこもゼロカットを採用していません。
ただ、なぜ金融庁はゼロカットを禁止しているのでしょうか。
これは金融商品取引法において「取引所によるトレーダーの損失補てん」が禁止されているからです。
ゼロカットは口座残高以上のマイナスをなしにしてくれるシステムでしたから、これはまさに損失補てんにあたります。
そのため、国内ではいかなる取引所であってもゼロカットを採用しているところはないのです。
なお、ここでIG証券はそもそもイギリスの取引所ではないのかとお考えの人も多いのではないでしょうか。
しかし、IG証券はあくまでもイギリスが本拠地であるだけ。 日本で営業しているIG証券は日本の金融庁の認可を受けた日本の取引所。
いわば外資系の取引所にすぎません。
海外の取引所と勘違いされがちですが、IG証券はれっきとした日本の取引所と考えておきましょう。
IG証券はゼロカットがないけれどリスクはおさえられる
IG証券にはゼロカットはありません。 その理由を考えると今後もIG証券がゼロカットを採用する可能性はないでしょう。
しかし、IG証券にはゼロカットに少しだけ似たノックアウトオプションというシステムが存在します。
詳しい解説は省略しますが、ノックアウトオプションは事前に設定したノックアウト価格以上には絶対に損失が出ない取引形態です。
オプション設定には別途オプション料金がかかりますが、莫大な損失を出す可能性を排除できるという点はゼロカットと同じです。
どうしても借金のリスクをなくしたいという人はノックアウトオプションの利用も検討してみるとよいでしょう。
ただし、IG証券のノックアウトオプションはFXとはまた異なる取引形態です。
また、ゼロカットが必要になるほどのハイリスクな取引自体がそれほどおすすめできるものとはいえません。
本当にそこまでして利用すべきかどうかは慎重に判断しましょう。
IG証券でゼロカットをどうしても使いたい人は
どうしてもIG証券でゼロカットを利用したいという人はイギリス版のIG証券を使うという手もなくはありません。
先ほど解説したように、IG証券がゼロカットを採用していないのは日本の金融庁のルールによります。
したがって、イギリス現地のIG証券を使えばゼロカットも利用可能です。
ちなみに、海外ではゼロカットは「ゼロカット」ではなく一般的には「Negative Balance Policy」あるいは「Negative Balance Protection」、略してNBPなどと呼ばれます。
公式サイトにも、ゼロカットによってプロトレーダー以外のユーザーは決して口座残高以上のマイナス損失を借金として負うことはないと明記されています。
ただし、実際にイギリス版のIG証券に口座を作るためにはかなり面倒な手間がかかると思われます。
あるいはそもそも日本在住社が口座を作れるかどうかも不明です。
また、取引条件や取引画面も日本のIG証券とはかなり違います。
完全に日本のIG証券と同じように使えるとはかぎらないので、その点は承知しておきましょう。
IG証券以外でゼロカットのある取引所を使うつもりの人は
イギリス版のIG証券を使うつもりもないけれど、どうしてもゼロカットを使いたいから他社を使おうという人もいるかもしれません。
ただ、その際には日本の取引所とは異なる取り引きルールには注意しておきましょう。
例えば、ゼロカットのある海外の取引所の最大レバレッジは数百倍にものぼります。
ハイレバレッジは当然ながらハイリスク・ハイリターンな取り引きです。
ゼロカットによってマイナス損失が出ることはないにしても、一瞬で口座がゼロになるリスクまでは免れません。
また、ゼロカットがあるがゆえの独自のルールにも注意が必要です。
例えば、日本のIG証券では特に両建てを禁止していませんが、海外のIG証券では条件付きで両建てが違反となります。
詳しい解説は両略しますが、これはゼロカットがあることが理由ですから他社でも同様です。
このように、仮にゼロカットのある他社を使うとしても、それにともなってかなり取引条件も違ってきます。
基本的には日本のIG証券に興味を持った人はあまりゼロカットの有無にはこだわらず、シンプルにリスクをおさえた取り引きを心がけることをおすすめします。
IG証券のゼロカットを分かりやすく解説 まとめ
IG証券にゼロカットはありません。
ゼロカットは口座残高以上のマイナスなしにしてくれる心強いシステムですが、日本の法律では導入不可能です。
そして、IG証券はイギリスに本拠地をおく企業のため海外FXの一種と勘違いされがちなものの、実際はれっきとした日本の取引所だからです。
どうしてもゼロカットを利用したいという人はイギリス版のIG証券を使う手もなくはありません。
しかし、手間や不確実性を考えると正直なところあまりおすすめはできません。
基本的にはゼロカットを頼るのではなく、そもそもリスクをおさえた取り引きを心がけるようにしましょう。